時雨涙

真っぷたつには われない

勇気のある人が

ある日

泣いていた

寂しそうで

あまりにも深そうで

近づくことさえ 許されぬ

けれども

あの人は 笑うのだ

なにもなかったように笑うんだ

明日になったら

もうすぐしたら…

いままでも これからも

そういう人だった

僕等はそんなあなたの涙を見なかったことにしてあげて

冗談混じりに 『時雨涙』 なんて呼んでいた