晴れていた

見掛けたら空を見上げていて

僕は隣でおんなじようにしたいなって思った

他の誰かと見上げている君を少し想像して

君を好きだと知った日はだから晴れていた

 

そんなの憶えていないと言った日も晴れていた

つい昨日のことだから憶えているのだけれど

一週間ぶりに聴いた君の声は少し嗄れていて

それでいて誰のものでもなく君の声だった

 

僕が見ている青が君には赤に見えていて

夕日より青空が切ないって君も僕と同じで

僕の赤(君の青)が切ないのかもしれない

おんなじがいいってわけはなくても

せめて似ていたいと思って 一人どうし

 

そういえばどこか

君と僕が混ざっておんなじ色にならないか

なんて思っているところがあるかもしれない

それより問題は、それを君が気に入るかどうかを

気にしている僕なんだろう

そしてこれが、大きな問題なのか小さな問題なのか

分からないってこの気持ちなんだろう

いつのまにか君が遠くなってしまう

気がつくと僕はやっぱり僕のことばかりを考えている

 

青空にはなんにもないから切ないのかな

そういえばまだ二人で見上げたことはなかったね

夕日だって見たことはなかったね

空との間に鳥が飛んだり、街があったりするどこかで

ときどき隣りにいたり、食べながら話したり、ばかに笑っているのに

いつもそんなことは、いつのまにか過ぎて、忘れているね

それとも君はやっぱり一人で見ていたのかな

僕の気づかないどこかで

 

いろんな日が晴れていたのとおんなじくらい

雨だった日のことも憶えているかい

あんまりの土砂降りに君が僕を部屋に呼んだ電話を

あの冬の耳の受話器に当たる感触を 僕は憶えているけれど

僕は僕の目では僕を見れないと 君をしっかり見ようと思った

守りたいとは、どこか言いにくい雰囲気のある君だけれど

 

でも結局、君を想像するしか僕は君を知れない

僕を君に伝えたいけれど言葉にはとてもできそうにない

できるのは限りをつけずただそばにいるってことなのかもしれないと

僕は君のもうひとつの青空になろうと決めた

唯一を諦めても 限りない想像力をいつか持てたならいい

 

君のそばにいる僕はいつも切なく晴れていた

それだけはいつか おんなじように僕にも君にも分かりますように

君と僕で並んで見上げたり見たりして いつもときどき

なにもないところにあるかもしれないものを だけではなくて

なにもかもあるところに ないかもしれないものを見つけるようにも

探しに出掛けよう

 

僕の僕を 僕の君を 僕の僕と君を 僕の僕と君以外の まだ大切なものも

君の君を 君の僕を 君の君と僕を 君の君と僕以外の まだ大事なものも

探しに 出掛けよう