なにも言えなくても生きてる時間に

羽根なんてどうでもいいから会いに行って

使い慣れた哀しみや切なさをたたんでしまい

君の歯が見えるまで 僕は微笑んだら

そこで抱きしめよう かろうじてつよく

抑えられない涙にも 瞼を閉じて

 

こころのあしたで

いつか夢で見たような景色として

陽射しの中のピクニックに行きたいと願っている

祈りってなんだかおごそかだけれど

難しい本をいつか目覚めたら読もうと鞄に眠らせたように

いつかのために 君と僕の真っ黒のシルエットを

照り返すだけの海に浮かべている

小さなボートの中で 君が作ってくれたなら

僕の大好きな何かのタルトを食べながら

月が映り出したら 手を出さない約束をしてでもいいから

銀色の食器を投げ込んだ後

こころに残る淋しさは底の方で輝いているけど、なんて呟いて

同じ時刻に 瞼を開こう

 

憂鬱が雨雲になって雨を降らす頃に

届くように放たれた光が きっとある

僕は星の数を数えていて誰もが気づくと信じていたけれど

僕は目のいいのだけが自慢で

それを君に言いたくなった日から 君の目を見るたびに

瞬きの瞬間にさえ 流れてしまう時間があって

瞼の裏にさえ いつのまにか映された君を持って

光と影の繋ぎ目にある隙間を

夢と名づけて 眠りはじめた

 

瞼を閉じてからも零れる涙が 海になって

口を塞ぐ 僕らのキスにも意味がなくなり

髪を濡らして 沈んだ辺りで目を覚まそう

 

水中の僕らは 拾った銀の食器で月を切り分けて

滑り出す舟底を見送って かろうじて手を振って

波紋に 頬を見よう 揺れ動く模様に 触れ合おう

滲んだあの星になお 泣いているのだと気づいて

 

僕は僕の大切さを探しているんだ くだらないとなにもかも捨てればいい辺りで なにもかも放り込んで傷ついてさえ 傷つけてなお 触れることを憶え 君と僕という 今だって不完全な繋ぎ目も 僕の僕という止まらない涙も 君の君という暗闇の響きも やがて静かな 辺り一面で

 

この水面のある球体の深みで泳いで

大きなシンバルの真ん中にある木陰から垣間見よう

陽射しのようなあの星の生死さえを

銀色の針が刻む 僕らのないに等しい交わる時間さえを

 

瞼が開いたときの 光が僕のすべて

瞼を閉じるまでの その一瞬だけが