窓からの光

僕は刹那に抱えさせて

君との刹那を

生涯や 続くという言葉で染めて

放つ礫か 落ちる雫を数えず

水面か せせらぎを見ていた

 

手を触れず 川明かりに立っていたのは

こころの迷いを遮る 断ち切る

かたちのない壁を

探していたのかも しれない

 

遠くを流れる川が 箱の蓋を閉じた今は

渦巻いた 煙になっている

さなぎの中の出来かけた蝶々のように

なにものでもない 生きる過程なだけで

 

忙しい君の合間に 僕は潜り込んで

互いを 温められたなら

すべてにある二つの顔の間に立って

迷子のように 泣きわめいて

張り詰めた 紡ぎ出された中径を辿り

僕は僕の強く握るべき手を 君に振ったろう

 

呼びかけるのは さよならに似て

涙のたびに 僕は変わる

けど 今、

今笑うのは ありがとうに似て

これまでを 思い出してる

 

価値のない 僕に価値があるのは

羽根を広げたり 何度あるだろう

君にじゃれたり それもできない今

ただ 今、

今があるのは それでも水音がして

これからを 描きかけてる

 

夜明けの位置に向かう暗転するこの舞台で

破線が弧を描いて みんな 飛び跳ねる

落ちないように このまま 飛び立つように

 

光の中から 次の光の中へ

僕は 君とは照らし出されながら 踏み出せないよ

君とは照らし出されながら 僕は 踏み出せないよ