クロスワード

どこかにきみのなまえなんかがでてきやしないかと

ひさしぶりにえんぴつなんかをけずってこつこつと

ひたいをつつきながらじてんなんかをめくってみる

はじめはすらすらうまったがとうとうとほうにくれ

おかしいうたもうたってあげるわというねえさんに

でんわをかけてきいてみようかあのこはどこにいき

なぜぼくにてがみのひとつもよこさないでそのくせ

くものもくてきちやかぜのわくいずみのなののった

このじてんにさえあかいせんをたらふくかきのこし

あんなにきらっていたいたずらなんかしてるんだ?

なんてぼくのきもちはななもじでなんていうのかと

 

ぼくもしらべたたんごにひとつのこらずせんをひき

“きみ”のあかいせんにそのあおいせんかさねては

ないたりなんかしないようにつよがりしてまうの?

とねえさんはやさしくいってくれたんだしってるわ

(そのきもちのなまえはね“どんかんなばか”なのよ)

でもあとにまわしてほかをうめてしまえばいいのよ

 

クロスワードがかんせいしてみるとあついじてんに

せんのひかれなかったたんごがあってそれはなんと

よそうもしないぼくのなまえと“どんかんなばか”

なんなんだよぅこのいたずらはひどすぎるじゃない

 

はがきにこたえのきみのなまえをかきいれてきづく

きみにはとどかないしけいひんもあたらないだろう

それでも“どんかんなばか”はきづかないふりして

ゆうやけみたいなまっかななみだがはしににじんだ

しめきりもきれてあてさきもないはがきをいちまい

ぬりなおされたばっかりのまっかなポストにいれて

すこしばかりのたっせいかんにほだされほほえんだ

 

ねぇねぇねえさんおかしいうたをきかせてください

“どんかんなばか”はなににきづけなかっただろう