鐘の音がする

ぼくは口から鐘の音がする

がらこんからこん大きな音

祝いだぁがらこんからこん

別れだぁがらこんからこん

ぼくは口から鐘の音がする

 

ベルフライ*1のてっぺんは

優しい風も頬撫でるばかり

ぼくの気もおかまいなしで

引っ張る綱かとっ風だけが

鳴らないぼくを揺り覚ます

 

けどぼくはきみを見つけた

いつかきみに穴を開けたい

がらこんからこん呟きだし

胸にいっぱつ開けたげたい

がらこんからこん叫びだし

 

ぼくは口から鐘の音がした

がらこんからこん大きな音

喜んではがらこんからこん

泣いてはがらこんからこん

ぼくは口から鐘の音がした

 

ちいさな穴をひゅるり抜け

ひゅるるると鳴る風を聴き

地上の優しい風に揺れれた

がらこんからこん毎朝毎晩

見上げてくれる全てに感謝

 

ある晩きみがぼくを訪ねた

らせん階段ろうそく一つで

ぼくの傍らひざをつき泣き

両手を合わせ祈りはじめた

どうやらわたし胸の鳴る病

 

がらこんからこんがらこん

からこんぼくは泣きやまず

がらこんからこんがらこん

からこんぼくは鳴りつづく

ぼくは口から鐘の音がする

 

遠くうつむき倒れたきみに

鐘の音とどけ鐘の音とどけ

優しい風が頬撫で過ぎてく

きみは髪から風の音がした

風の音がした風の音がした

 

*1 belfry:鐘塔