さようなら

光に続くと信じた通り道で

知らない人のばら撒いた

流れ弾を避けきれず

大きな傷を胸に負い

愛を呟く声も聴こえず

ひとりになってかがみ込み

それでも止まない轟音に

ふらつく足とかきむしる手で

土を蹴り空を仰いで

逃げ出すように駆け出した

振り返れば哀しみが迫る

手を差し延べても何も触れない

暗闇に続くと思える通り道を

意味も理由も目的もなく

逃げ出すように駆け出していた

 

息は切れ汗が溢れる

流れ出すぬくもりの重さに

傷口を押さえ助けを欲しがる

誰も来なくて時間は過ぎて

気が遠くなり愛しさを知る

あまりに無力な自分を見つけて

後悔ばかりが降って来る

痛みが消えても苦痛を感じる

もう足が上がらない

息ができない

立ち止まっただけで

崩れてしまうほどの体なら

捨ててしまいたいと思った瞬間

すべての痛みを結晶化した

涙がこころに零れ出す

ついに走れず倒れ込み

地面の固さと花の高さを

思い知る

 

見てくれや持ち物なんて

どうでもいい

最後はひとりで孤独だなんて

あたりまえ

先には今も何もない

奥の方に夢や希望はあったんだ

それを叶える傷つくものでできていたんだ

人の体もこのこころさえ

 

最初は善いものだっただろうか

それとも悪いものだったのか

拾い集めたものを捨て

真白でもなく透明でもない

生まれたときの気持ちを持って

溶け込むように空っぽになり

できれば空に行ってみたい

 

そう言えば家族がいた

あんなに笑顔を教えてくれた

ありがとう

少しばかりは友達もいた

こんな僕でも笑顔を見せられる

いい友達が

 

さようなら

さようなら

神様をとうとう信じられなかったけれど

みんなにはいると信じているよ

幸せだってあるに違いないから

幸せを

幸せを

追い求めてね

 

生まれ変わりはしないけど

確かに僕は生きていたでしょ

この好きな色で埋め尽くされた

飴玉みたいな小さな星で

かけがえのない広い大地と

こころに似ている深過ぎる海と

大好きだった大きな空に

囲まれて

 

僕らはそうして

僕らを囲んで

僕らは生きて

僕らを生かす

 

さようなら

さようなら

できることなら

もっといたいけど

できることなら

また会いたいけど

もうできそうにない

さようなら

 

生きて行くみんなと

僕に

さようなら