時の朝露

しばらく黙ったまんま

天気雨のように

君から触れてくれるのを

待っていた

 

冷たい指は

虹をくぐって来た風や

時の朝露とは違って

僕から一度手をのばし

触れたもの

 

僕の恋は叶わない

夢で見てしまった

僕の恋は叶わない

 

笑えないジンクスを

初めて笑ってくれた君

まだ夢見てるのよと

冷たい指が包んでくれた

 

曇りガラスでできた

水滴の中で

泳げないまま

ほどける糸の隙間から

目を合わせ

 

曇りガラスでできた

水滴の中で

広がりかけたまま

止まってしまった

泡から逃れ

 

 

しばらく傾けた耳

勿忘草のように

君から投げかけてくれるのを

待っていた

 

彗星みたく

やがて星になるオーロラや

同じ日の星座のようには

僕へと時間をかけて

届かないけど

 

僕の恋は叶わない

これからは夢見ても

僕の恋は叶わない

 

太陽があれば輝く宝石と

いつかどこかで輝けばいい

二人の想いが混ざり合って

窓の向こうで一粒になった朝

 

おそろいのイニシャルを

運命的に語る君

まだ夢見てるのよと

冷たい指輪を通した眼差し

 

 

曇りガラスでできた

水滴の中で

目を閉じたまま

思い出の反射線で

色つきの影絵を見ては

 

曇りガラスでできた

水滴の中で

広がりかけたまま

止まってしまった

泡に囚われ

 

僕の恋は叶わなかった

夢に見るほど 想うのに

僕の恋は叶わなかった

 

想った人に想われるのは

ささやかな音もたてずに

訪れてくれた涙のようで

拭うとすぐに消えそうだけど

 

夜に生まれた時間が切れて

光しか見えない瞳が

朝露をたたえ

巡り始めた振動がする

 

曇りガラスでできた

水滴の中で

広がりかけたまま

止まってしまった

泡から逃れ

静かな雨を

二人で見てる

 

知ってるかい

一人でいるほど

自分の音は遠くで聴こえる

 

僕の哀しみをあげるから

君の笑顔を全部ください

と言いたくなって

しばらく黙ったまんま

 

窓の向こうで

時の朝露

また一粒に

なって流れる

 

流れついた君と

止まったまんま

手を伸ばしてた

僕のようかも

しれないと思った

 

覗いた朝日に

全てが輝き

瞬いた その時

君から触れてくれたから

 

すぐにも忘れて

いいこともあるかも

しれないと思った