口げんか、ぼくの負け

風に乗せたら飛んでく

安い宝物を持ってた

 

きみの言葉に打ちのめされて

高い空を見上げたら

曇ってた

 

赤い風船はしぼみながら

ぼくの魂になってく

きみのため息が風

きみの涙が雨

口げんかはぼくの負け

認めよう

 

きみのため息が吹き込まれ

きみの涙が重り

赤い風船は膨らむと

ぼくの体になってく

 

指先でかろうじてつまんでる

糸はやけに細い

だからまずい空気もかっこんで

きみはどこにいるのか

空の旅に出掛けた

 

…鳥につつかれないように

…枝につきささらないように

…ジェット気流に乗らないように

…まさか海には落ちないように

 

きみはちっぽけだから

ぼくは点描画を描く

こそばがるきみの顔だけを

焼きつけて来た

安い宝物

 

ため息でぼやけた

涙で滲んだ

赤い風船

 

きみの中で

ときどき弾ける

 

かわいいくせに残酷なのは

きみの体だけじゃなく

ぼくの心もそうなんだ