これからのことを

これまでのことを

すべて水に流したとして

向かい風は吹き止んでも

これからのことを

眉間にしわをよせて

睨みつけている

 

それはタイトルがつくかぎり

アングルを持つ虚構の世界ではあるとして

塵がひとひら降るほどの時間のなかに

三色じゃない鮮やかな世界は

まだ手触りのない宇宙の壁の

その向こうまで広がってる

 

この手ですくい取ろう

それは叶わない夢かもしれない

けれど僕は塵のひとひらに

涙溢れるまでなりきろうとした

 

同じように見えるものが

辞書だけでは翻訳できない想いを込めて

ぼぉっと百科事典の手垢にまで点在してる

それでも原寸大の地図を

色つきの太い境界線で区切りながらも

銃を抱えて二十四時間見張りながらも

共存してることへの一筋の意識は

未だ揃わないピアノ線として地図をまたいで

胸のあたりを貫通してる

 

それが僕から一方的な

釣り糸のように

今はまだ空を切ってるとしても

 

 

汚れを洗い落とした水は

流れながら透明になっていく

海に溶け込むころには

そのままその喉で飲み込めるようにと

 

塵になった僕からすれば

もやから星がいくつか回り出すほどの

長く永い川に見える

 

でも僕の汚い部屋には

信じられないほどの塵が積もってる

週に一度は掃除してても

 

そして僕の脇に置いた

冷やした水道水のコップの縁からは

空気の集まってできた

幾筋もの水滴が流れ落ちてる

 

僕はただこのコップの水が

透明に見える泥水じゃないことを願う

せめて青い星ならぜんたいてきに

 

そして塵じゃない人間は

塵の舞うなか光が差せば

きらめくことをこころで知ってる