二人になろう

木登りをする僕を

止めるのは

いつも決まって君だった

 

君がくれたタンポポを

僕専用のコップにさして

枯らしたことを黙っていたら

シロツメクサの王冠を

誰にも内緒で作ってくれたね

 

手を繋ぐたび

君の手で生まれる温もりやすべてを

閉じ込めないように

優しくて強いものになろうと決めていた

 

バンソウコウをもらうたび

何か言いたくなるのに

それがなんて呼ばれる気持ちなんだか知らなくて

ありがとうって小さな声で

できれば、ただ君だけに聞こえるように言っていた

 

靴飛ばしして

明日の天気を占ってた頃

未来があるのは当然だった

地球の果てが滝であっても

宇宙の始まりが何でもなくても

何にも知らないことが毎日

何かを知ってく勇気をくれた

 

何度人を好きになっても

結局それをなんて呼ぶかは

二人で答えを出さなきゃいけない

差し延べた手で

傷つけることなんてずっとずっとないように

 

 

失敗をして立ち直れないときも

君に迷わず伝えておきたい

喧嘩をして仲直りできないときも

君に迷わず言える言葉を探してた

 

 

木登りをする僕を

背伸びしながら君が両手をあげて止めるとき

いつも苦しい緑の香りで

僕は吸う息もはく息も涙混じりでとことん詰まった

 

君が転んで始めて気づいた

木登りを止める君の痛みに

立ち上がれない君に

無意識に差し延べる手に名前はないけど

できればこんな二人になろう

一緒に木登りできる一人の誰かと

あの頃より少しでも優しく強い一人の自分で

 

空に近づくことで少しずつ強くなり

空に近づくことで少しだけ優しくなれる

そう言って君を泣かしたことがあったね

一人よがりの気持ちは全部二人のためにはならないことを

どうしてもっと早く気づいて

どうして一緒に行こうと言えなかったと

それに気づいて少し後悔するけれど

ただ今からはそれから見つけた大事なことを

忘れぬことで前に進むよ

 

高く広がる

葉っぱの大きなあの木の途中で

日向になった枝に腰掛け

手の届きそうな空を見上げて

今は一人で足をぶらぶらさせている

「危ないよ。」って言われても

「君もおいで。」と今は迷わず言えるだろう

 

儚いことが生きてる中で

輝く時間を見せると思う

タンポポが枯れたら

シロツメクサを摘んでくるよに

こころにとめた言葉しだいで

そこから生まれた行動しだいで

見えないはずの景色が見えて

消えないはずの記憶が消えて

輝く時間を見れると思う

 

ほんの小さなしるしのくせに

それはちっともありふれてない

抱きしめあったら胸のあたりに

ふっと感じる涙が出そうなその気持ち

一度知ったら忘れられない

生きてることを突きつけられる長い一瞬

 

君と見つけた二人の言葉は

ほんとにいくつもあったけど

その気持ちだけもとから持ってた

そんな気がする

 

 

木登りをする僕を

止めるのは

いつも決まって君だった

 

夢を追うとき

背中を押してくれる風よりも

大事なものを僕は知ってる

 

きっと何回落っこちたって

原動力の気持ちを知ってる

 

できればこんな二人になろう

一緒に木登りできる一人の誰かと

あの頃より少しでも優しく強い一人の自分で

 

名前のいらないこの手とその手で

一緒に木登りできる一人の誰かと

あの頃より少しでも優しく強い一人の自分で

できればそんな二人になろう