境界線に立って

羊の毛みたいに

くるくるの雲と

夜空が透けて見える空

 

風は冷たく

陽は温かく

緩やかな坂道でも

まっすぐ登るには

涙目が必要で

ときどき見上げる

あの空と山の

境界線が目標だ

 

石の階段の横には

大きな木がいて

足元には

子供の頃のどんぐりがいる

好きな形のを

ひとつだけ拾ってみる

 

ふと思い出す思い出は

いつも とても

大切なものの匂いがするから

なぜだか本当に

大切なもののような気がする

 

僕はあれから

ちゃんとした恋というのを

待っているのかもしれないね

詩人は言っている

こんな僕に

恋に走っちゃいけないと

 

でも

待ってるだけじゃいけないと

僕は

ようやく恋を探しはじめた

 

賽銭箱に

どんぐりと五円玉

 

いままでと

これからの

境界線に立って

新しい出逢いを祈ります