幸福な夢の帰り道

空を飛ぶ夢を

生まれてからも

見たことがありますか

 

つよい憧れは

経験不足の

あつい情熱なんでしょう

 

 

これでも冬だろうか

っていう青空を

でも透明度は冬だからこそ

っていう青空を

夢でいいから飛んでみたい

 

 

天空と同じ寂しさを逃れ

ついに見えない幸福な夢を

求めた堕天使にならぬよう

 

大地と同じ哀しみをきつく

凍える背の高い風をかたく

覚悟ならばしています

 

思い出にならないほど

小さな夜に

一度だけ見た夢は

記憶をなくした海の深さで

初めて泣いた夢だったから

 

 

空を飛ぶ夢を

ぼくは

見たことがないから

 

ずっと信じていた

 

翼がないし

生きているから

 

記憶を消しても

生まれてきたから

 

 

なのにこの頃

心にだけは

翼を感じられるんだ

デジャヴのように

風を切って

青空や雨曇の上を飛べるよ

 

哀しみをいくつも抱えた天使と

こころゆくまで笑いあい

涙の作り方を何度も聴いて

大地の歩き方をいくつか教えた

そして必ず夜明けはやって来る

みんな寂しがりやばかりだけれど

朝になったら手を振り帰るよ

 

鮮やかな世界へつづく

幸福な夢の帰り道は

とても不安で横風ですが

その健康さにかけています

 

夢でないからこそ夢な

幸福な夢の帰り道は

とても曖昧で一筋ですが

その成り行き任せに罪はなく

 

幸福な夢の帰り道こそが

飛べないぼくの行き先なのです