棘 -とげ-

気づかなければならないことが

まだまだたくさんあるよな気がする

表情のない知ったかぶりの顔は皆

昔の自分で 鏡を割ってしまいたくなる

 

何かの棘がこころに触れる

迷わず僕はそれに近づく

二度と閉じない穴が開いても

深く突き刺し離さず近づく

 

他人から見れば傷痕だって

とても大事な想い出だったり

まんまるだったこころが実は

鋼鉄みたいに硬かったなら

生きてるだけで傷つけないと

誰が約束できるだろう

 

僕が僕だと気づくには

ビー玉くらいの小ささがいい

だけれども

もっとたくさん気づきたいから

空にも負けない大きさがいい

 

星空みたいにぱらぱら散った

数え切れないこころの核に

何かの棘を無数に刺して

風が吹くたび痛めばいい

 

傷つけるのが怖いんじゃなく

傷つくことが怖いんだったら

他人に尖った棘ばかりになる

弱さと優しさ似ているけれど

近づいてけばすぐ分かる

 

 

気づかなければならないことが

まだまだたくさんあるよな気がする

それにはきっと時間がかかる

 

だけれども

そんなくらいも

生きる時間はあるか分からず

こんな世界に

理由も分からず生まれたけれど

ひとつくらいは

今日一日で足るかもしれず

そんな今日には

生きる意味こそあるだろう

 

こころの核の無数の棘は

かつて誰かの哀しみの棘

そろそろ僕の一部となって

ひとつひとつが触覚となり