紅茶の木

夢をサボって

ガラスばかりの建物の中

スケッチブックに

紅茶の粒を並べてた

 

まずは12こ

左端から4つだけ紅茶の香りの息を吹く

小刻みに枝分かれして

細い小さな木になって行く

 

次はたくさん5列に並べる

左上からひとつずつストロー通したため息で吹く

小さな粒は双葉くらいの大きさになる

2列も進まずフラワーベッドは満員になる

 

今度は丸く24こ並べる

広がるようにひとつずつ内側から吹く

時計回りにてっぺんから吹く

地球を半分木が覆う

 

気合を入れて60こ並べる

これもどうにか円にして

さっきとおなじひとつずつ内側から吹く

今度はたったの3分の1

 

同じページにまた60こ並べる

とてもすばやくストローで吹く

外から内へひとつずつ追いかけて吹く

スケッチブックは茶色くなってく

 

腕時計のなか光が走る

夢をサボって

ガラスばかりの建物の中

スケッチブックに木と根が生えた

 

午後の授業は間に合いそう

溶けはじめた氷でスケッチブックにもう木は生えない

ガラスばかりの建物の中

黒い表紙のスケッチブックはガラスを通る

強い陽射しで熱くなっていた