花氷

ジャムの小瓶をきれいに洗って

水だけで洗って

ひまわりの花びらを入れて凍らせた

甘い香りは残したままに

 

閉じ込められた泡が僕の住まいで

ひまわりは僕の太陽

雲が指を開いて見せた本物の陽にかざせば

僕の頬には止まったままの屈折した波

 

この花は太陽によく似合う

冬に咲いたら「太陽だ。」って通りすがりに見間違うだろ

この向こうには光があると指差すように咲いている

 

ひまわりの花びらを入れる前

貝殻のよに小瓶に耳を当ててみたんだ

甘い香りが小さく逆巻く風に聴こえて

切ない意味が少し分かった

 

満たそうとして水を汲み

せっかく咲いた花を浮かべて

知らないうちに凍らせていた

 

机に開いた出来損ないの恋愛詩集

陽の差し込んだその真ん中に

逆さまにして

ジャムの小瓶を置いておく

 

 

こころを惑わすすべての波は

揺れてなければ波と呼べない

 

そして、こころを惑わすすべての波が帰った後にも

僕のこころこそそこに