Pillow Box

箱の名前は知らなかった

Pillow Caseは枕カバー

なるほどPillow Boxか

確かに枕の形の箱だった

 

青い花のリボンをつけた

茶色い箱から

水色の便箋を取り出して読んでいた

だんだん微笑んでいた

僕はなんとなく見続けていた

斜め向かいに座った彼女を

一度しまった手紙をもう一度取り出して

もう一度だんだん微笑むまで

 

彼女を見知らぬ何処かで

こんながらがらの昼下がりの電車の中で

微笑ませたその手紙には

何が書いてあっただろう

 

ジャージ姿の中学生か高校生

部活の引退かな

そんな時期かな

Pillow Box抱きしめながら居眠りしてた

 

素敵なことはきっとあちらこちらに咲いている

馬鹿にしてきたいろんなことが

そろそろ大事になり始めたよ

目の輝きを ダサいだなんて笑えるだろうか

 

窓の外には眩しくさせる

なにかが吹いてた

うとうとしてる間にいなくなった彼女を

夢じゃないかとふっと思って

ほんの少し寂しくなった

 

僕はここにいるけど

おんなじようにあちらこちらで

生きてる誰かが笑っているなら

僕もなんだか微笑むだろう

 

Pillow Boxには何が入ってたんだろう

ほんとは別にどうでもいい

彼女を微笑ませた何かは

僕を微笑ませた何かで

僕を微笑ませた何かが

いつか誰かを微笑ませたなら

 

もしも夢でも叶ったら

Pillow Box送ってあげよう

空っぽだったら怒るかい

手紙は忘れず入れておきます

 

次の夢など探しに行くなら

きっとどこかの線路の上へ

晴れた午後でも出かけてみてよ

それを抱えて