さくらんぼ

見えない光を、ほらさぁ、

赤くするさくらんぼも、この手にあって。

齧ると、天気雨の冷たさがした。

 

真っ赤な太陽を描いた、昔はでっかかった真ぁっ白な画用紙。君、

白い建物の屋上から、つめたい真っっ黒なまるを広っぱに落とす。

しろつめくさの王冠をそれに被せる、少女の誰か、笑ってるんだ。

 

熱く濡れてる髪を撫ぜて、僕は空に目をやる。琴の沈むその真っ青な水の、

あの波頭の白に触れたくなって、船の貝殻で、ここから漕ぎ出す夢を見る。

ところで、明日はどの方角から?背伸びしてなめた指を、、、君は。そんなふうにして、

歌う光だったし、二人の傘も一つなら。とっても良い日だったんだったね。

 

鳴けない鳥が、ほらさぁ、

黄緑の葉の隙間で見つめ合ってる。

恋は何かと聴かれても、生涯首を傾げるだろう、あの鳥。

 

君の、笑い出す掠れ声は真昼の月の白さの薄さ。

宇宙は一つじゃないから、さくらんぼのようね。

私たちは見ないけど、きっと大きな木があるの。

 

そうよ、彼方が蜜柑色になったら眠ろう。

明日はまだ来ない、、、そう想ってみて、

君も、今は。と、あの「目」で話してる。

 

見えない光は、からさぁ、

赤くするさくらんぼで、手にあって。

空に投げんだ、みんなで。いっせぇのぉせっ、っで。

ほらぁ。高く、高く。

 

朝日が来んぞぉ。さぁ、僕ら行こ!

そら、眠ってるみんな、起きる準備して、待ってて。

もうすぐその手にも、実が落ちるころ。だから、

 

ウハハ。なんだかちっちゃなリンゴみたいだ、ねぇ。

赤く遥かなる『さくらんぼ球状星団』。またいくつかの宇宙を、生むんだろう。

僕らのあとの僕らの、生まれる場所が、生まれんだろう。繰り返しても、

同じ夢を、

見るとしても、、、。

 

見えない光を、ほらさぁ、

赤くするさくらんぼは、その手にあって。

齧ると、天気雨の冷たさがする。