ランプシェード

ゴミの散らばった

蒸し暑い部屋も

おおざっぱに片づけ終わる頃

古い本の詰まった箱から

薄緑に透けるランプが出てきた

 

針金のつまみを回すと

きのこ色の芯が上がって来た

片づけの片づけをほっぽりだして

油を注いで火を点けてみた

 

何か一筋の煙は立ったけど

光はついに燈らなかった

でもこのランプの傘はどこだろう

立ち上がろうとした右膝に

ことんとランプはこかされた

とくとくと零れる油が

拭いたばかりの床に広がる

 

自分の思いつきな行動を

少しばかばかしく感じながら

乱暴にランプをベランダに置いて

床を拭き直した

 

なんだか気が抜けて

やがて夕暮れ時には雨が降ったようだ

そのまま目が覚めた時には

どうやら真夜中の中にいるよう

 

窓の外で光を燈すのは

雨水で燃えるくぐもった星

どうやらこのランプの傘は

空らしいのだ

 

それも今夜はいやに小さく見えるけど

この手は決して届かなかったし

永遠はやっぱりあどけなかった