青い電柱

風通しのいい部屋を見つけたんだ

少し開いた窓から夕暮れの青い空が見える

それだから少し開いた窓から君が見える

 

風通しのいい部屋を見つけたんだ

少し開いた窓から夕暮れの青い電柱が見える

それだから少し開いた窓から風が入る

 

木や草のように

恋を知らないものになりたい

ひとりぽっちのように

たのしげでもさびしげでもなく

 

それはひとつの願い

千のうちのひとつの願い

虹を割ったら光の粒が空豆のように落ちて来るのと同じ願いだ

 

僕は水のように姿を変えたい

熱を冷ます氷に

気ままな蒸気に

その手が温まる白湯に

 

そしてひとり水になり

青い電柱を渡り歩きたい

電子と共に流れていたい

 

アスファルトの砂に立つ

膨大な数の木を渡り歩く

君が好きだという青い夕暮れを分断するたわんだ枝の一本道を

水となって流れたい

 

少し開いた窓からはもう何も見えない

黄昏はばかばかしい夢を見せる

青い時間は短かすぎて風も止んでしまった

 

また今日も同じ星を見ようと言うのか

君や僕はもう直に触れなければ

水のように真っ暗闇に消えてしまいそうだ

冷たく静かに、本当に