とべないとり

トイレの鏡を全部割ったのは

ぼくだったんです、せんせい

それを拾ってケガをした

あのこをぼくはすきだったんです

 

きずつけないであいせない

どっかの街で聴いたんです、あのこの

ちはしょっぱくてぬくもってたよ

ちからを入れて抱きついたら、ねぇ

ちからない声をだしたんだよ、ねぇ

 

好きだった気持ちは記憶喪失みたいになくなって

今はどこにあるんだろう

あの子のじゃない顔を見て僕はそれらを

今はまた思い出してるんです

 

とべないとりがとべるとりになったおはなしがあったでしょ

冴えない僕らが沈んでく今日を見るにはまた何もできなかった気持ちが辛くて

とべないとりをたかくほうったらおちてきてうごかなくなったんだよ

 

ちからない声を今でも思い出すんです

おちてきたとべないとりのさいごの言葉もききとれなくて

言葉さえぼくはうらんでしまったよ

 

無口な僕が空を飛ぶのは

おしゃべりがすきなぼくがそらをみあげてるとき

時々涙を零してるのは

あのことはなしてるんだ それなのにすきだといえなくて

ごめんね

 

小さなうずがまくのを雲があるときにだけ僕は見ることができるから

“今”も好きです

見えないものも見えるものもそこにあるんなら

ほら 僕に (ぼくも)

おいで

抱きしめてあげるから

ちからない声をきかせてください

 

あのこみたいな とべないとりに

つばさはあるから みえないかぜを

 

あのこのように とべないぼくに

つばさはあるけど きこえるうたを

 

せますぎるへやで ねむっていても

ぼくのすがたを もういちど

おいで と よんで

ぬけおちたはね