にんじん

実は前からこんなことを思ってた

僕が君を好きになろうとすれば

僕は君を好きになるだろうか

ゆがいたにんじんみたいにあかくあかく

君もなったらいいのに

透明じゃない皮でできてるから

僕は中を見ることができないです

 

胸の中にある乾いた棒が

横になるとつっかえて痛む

でも そんなこと

君にもないかな

もしかしたらないかな

日々草って花を見つけた日から

始まったんだよ

 

休日だけジャズをする大人の人がする恋に

少しだけ憧れてしまったり

言葉をゆうだろうか

どんな言葉をゆうだろうか

でも僕は

空いた時間には君と

黙り込んでたい

今あるどの静寂でも聴けないものを

耳なら掬うかもしれない

君が望むみたいな

きゅっと締まったやつを

甘くきついようなやつを

無口で海馬に残せたら

 

それは素敵なことだよ きっと

そんなこと 僕はいくつも語れない

実はひとつも知っちゃあいない

 

実は前からこんなことを思ってた

僕が君を好きになろうとすれば

僕は君を好きになるだろうか

そうなれば素敵だろうと

思うんだからどうだとは言えないから

思うだけなんだけど…

 

もう好きなんなら

いま ここで この僕に

新たな不安がいくつ来るのか

覚悟なんてない

いつか どこかで この僕は

実は「ずっと好きだった」と

伝えなきゃいけない

だからそれがどうしたのよと言われたって

僕が言うしかないんだから…

 

実は前からこんなことを思ってた

僕が君を好きになろうとすれば

僕は君を好きになるだろうか

ゆがいたにんじんみたいにあかくあかく

君もあたたかかったらいいのに

透明じゃない肌に触れれれば

僕は中を感じることができるのに