夜の電車

小さな思い出が

またひとつふえた

帰りの電車の中で

君が言ったとき

 

僕ら ただ

隣りにいる 窓側の僕

肩 ふわっと軽くなり

君が言ったとき

 

向かいの座席で

小さな男の子

手のひらを肩に

掛けてもらって

眠ってる ひざまくら

 

君を見る 君は男の子

じっと見てる 髪が似てる

さらさらら

 

君の女の子 髪も似てる

さらさらら

微笑みも

なんて細く 色があるる…星が降る

 

夜景が摩擦なく 流れてく

淡い車内の向こう 向こうへ

離れてく 露みたい

灯かりはみんな みんな

まんまるい

 

抱きかかえられて 男の子

人の多い 駅に降りたみたい

新聞を片手に おじさん

通路も人で いっぱい

 

僕らは 終着に近い

さらさらの髪

肩に 落ち着く

目をつぶる

 

子供のころ 夜の電車が

好きだった

走るのを 遠くから見るのを

好きだった

 

僕を じっと

微笑んで 女の子

髪 風

さらさらら さようなら

 

光の列 どこまで?

どこまでも… だから

いつかまた…

 

君が言ったとき

僕は目を覚ました

君を見る 君は男の子

じっと見てる 髪が似てる

さらさらら…

 

小さな思い出が

またひとつふえた

夜の電車で

君が言ったとき