最後の空想

きみには

地球が

青い一本の棒に

見えるのだという

 

ぼくは

どこに連れてきてしまったんだろう

そこは静かな森の薄暗い木陰の魂の椅子なの

温かなプロミネンスの煌煌とした水飛沫なの

それとも

なにもかもないなにもかもある最後の空想なの

さぁ答えてみろよ

 

きみは

たしかに

他のあらゆる一切の

人とも物ともちがって

ただ背が高く

蝶番のない扉だった

ノックはなくてしかりだったんでしょう

 

『わたしたちの最後の空想よ、丸い地球は…』

『わたしたちの心中よ、唯一の関わりは…』

 

音のないサイレンのリズムで

きみの目隠しを外してあげる

 

『太陽の種火は、この恋だったのよ』

あの頃のきみを

『魂は宇宙の長さの、一枚のネガよ』

あの頃のきみを

捨ててもきみを

 

暗室の赤いプールサイドで

アポロ8号の地球の出のように

半球にしてあげる