王冠と椅子

高いところ好きなきつつき

とりわけてっぺん好き

朝も顔洗う時

すわわと伸びた頭の羽の先

まるい雪洞

特別丁寧

櫛で梳き

 

毎日毎晩

高い木のてっぺん

みんなの椅子を

彫刻の時間

 

「ねえいす

しろのもりのみんなには

ぼくもはいってるの」

 

王冠は夕方

ひょこりやって来ては

そう尋ねた

 

「あぁおうかん

しろのもりのみんなには

きみがはいってなきゃ」

 

椅子は真夜中

ふすうと一息ついては

そう答えた

 

それを合図のようにして

ひし形の目をした蛙はバック転

遥か水たまり目掛け

手足を広げ飛び降りた

 

王冠の椅子はまだない

いつもとくん

という音だけを束の間うっとり

きつつきだけが聴いた