「空と花」第一回展示会

願い

元気ですか

お日さまが見えますか

 

もしも あなたのこころが

雲で覆われているなら

今すぐにでも風となって

その雲を取り除いてあげたい

 

いつの日だって お日さまは

たくさんの光りを・・・元気のもとを

一人一人のこころの中に

降り注いでくれている

 

だけど こころに生まれた雲は

その光りをさえぎってしまうから

ずっと覆われたままなら

お日さまの存在さえ忘れてしまうから

 

私には雲を通りぬけるほど

強い光りは放てないけど

せめてあなたの風となって

その雲を吹き飛ばしてあげたい

 

あなたのこころが晴れますように

あなたが元気になりますように

 

 

 

花トラック

じぶんに小さな疑いをかける

ぼくが わたしが なにになるのかと

 

ひとりぽっちでようやく咲かせた

ハナたちもそれっきり色褪せていく

ヒトのたいせつな 気持ちをすてて

待つだけだから立ち枯れていく

 

ハナのいのちはみじかいから

ハナは 咲くのだろう

それは ヒトのように

 

 

こころに小さなハナを咲かす

ぼくが わたしが なにかになるかと

 

なかまたちと畑いっぱいに咲いた

ハナたちがトラックで運ばれていく

ヒトのいろいろな 気持ちを込めて

町のハナ屋から買われていく

 

ハナはハナのために 咲くから

ヒトは ヒトのために

そして 花のように

 

 

 

 

 

 

君は どこにいるの?

こんなにそばに感じるのに

ホントは ずっと遠い

あの はばたく鳥よりも

あの やわらかな雲よりも

あの ゆらめく星よりも

全てのものを包み込んでいる

 

君は どこにいるの?

手を伸ばしても届かないのに

ホントは もっと近い

この はばたく鳥よりも

この やわらかな花よりも

この ゆらめく涙よりも

私自身を包み込んでいる

 

君は 誰に包み込まれているの?

ひとりぼっちで寒いのなら

君のひとかけらだけでも

私が包み込んであげる

だから教えて

 

君は どこにいるの?

 

 

 

葉っぱと太陽、花と土

きみがつくった

メリーゴーランドオルゴール

枯れ葉が舞い落ちる仕掛け

ぼくは目をとじている

 

ぼくが育ててた

花の根のことばはかずかず

真っ暗な土のなか

きみに伸びはじめた

 

なにかがかよいあう

こころからこころへ

 

きみがつくった

渡り鳥のための地球儀

花びらの染料が香る海と大地

ぼくは息を飲むばかり

 

ぼくがひろった

朱い双葉のあいあい傘

晴れの日もポケットのなか

きみはここにいる

 

約束を交わすように

蔦を絡ませ近づく葉っぱと

太陽のように

 

誓いを立てるように

真っ直ぐと根を伸ばす花と

土のように

 

なにかがとめどなく

こころからこころへ

 

なにかがかよいあう

こころからこころへ

 

 

 

 

 

 

海の終わりと空の始まりの間で

海の終わりと 空の始まりの間で

何かが生まれ続けてる

 

そこは 淡くグレーがかった

境界線さえ目に見えない

だけど やっぱり青色で

ゆっくり静かに生まれてる

 

空の終わりと 海の始まりの間で

何かが眠ろうとしている

 

星とか雲とか光りとか

空を歩んで海のもと

また生まれる日を想いながら

ゆっくり静かに眠ってく

 

海の終わりと 空の始まりの間で

今も何かが生まれてる

 

 

 

みじかい眠りから目をあげると

空がひとり羽ばたいていた

まださっき止んだばかりの雨をぶらさげた

雲が切れていく

窓辺では飲みかけのオレンジジュースが

氷水と幾層にもなって海の夕焼けっぽい

(僕は南風に吹かれたことがあっただろうか)

(話のつづきを忘れてしまったみたい)

 

鮮やかな色を探して

迷ってしまった蝶たちは

いずれ静かに羽根を閉じ

またもう一度飛ぶんだろうか

真っ直ぐにしか進めない光も

無数の粒に砕けて広がる

 

光がお月さまを隠しているのね

あたしは宇宙飛行士になるのよ

 

一つの色を見つけると

立ち止まるのはなぜだろう

どんな宇宙もかんたんな

たった一つの法則で

できているんだろうか

 

地球という一つの花に

空という

一つ色の大きな羽ばたく羽根と並んで

無数の蝶たちが羽ばたいている

(合わせればステンドグラスになるような)

ときどき羽ばたいていく蝶を

僕らはただ見送る

(羽ばたきながら見送っている)

(そして、どんな宇宙もかんたんな…)

 

せせらぎを渡るものあれば

砂漠に舞うものもあるという

くちばしに咥えられ飛ぶものあれば

アスファルトに貼り絵のものもある

処女を見分ける模様もあれば

空を知らないままのものがある

 

口のきけない蝶は

せめてと花を食べているのか

花もまた

口のきけないつがいを呼びながら

食べられているのか

 

白いレースのカーテンは

ここでも美しい

(僕は南風に吹かれたかもしれない)

(いつだったか)

 

底のほうの

まだ甘いところを

僕はストローで飲み乾す

そしてこのまま窓を駆け出して

空を飛ぶ

(夢だったか)

(夢のようだったか)

話のつづきを思い出しながら