優しさの種子

ひとに恋しても

かわらぬ笑顔でいれたころ

僕の心には優しさの種子が

蒔かれていた…

 

誰がそこにいたのかは

分からないまま

いつしか忘れ

いつしかどんなに雨が降っても

水をやっていた

陽の当たらない日を過ごし

夜の寒さに耐えて

どうしても哀しいときは

白い砂の上 涙も零した

 

誰の心にもあると信じてる

温もりさえ失くさないように生きるには

孤独をも越えて行く勇気がいるけど

それすら自分が自分であるためには必要だから

せめて春の陽射しに照らされる

微かに揺れる双葉をこの目で見るまでは

歩いて行こう

 

新しい心に出会った時には

集めた種子を分けてあげる

すべてを越えて行けるように

 

白い砂に溶けるだろう

誰も心も躰もひとつ残らず

いつしか大きな木になれ

 

命に生きていた証はいらない

命をもらい 優しさを与え 大きな木になれ

誰かを想い 誰かに想われ 大きな木になれ