現地へ

野生の出来事を

抱きしめるため出掛けた

精密な感覚器と

抱きしめるための

水筒を持って

 

犬は帰って来なかった

結局首輪は噛み切れる迷いだし

履き慣れた自分なら知ってる

雷のスイッチが脳内にあり

僕は現地へ

 

抽象画を描く宇宙

なんだって破壊で

星が生まれるんだ

 

微弱な信号

やがてこの回路こそ

こころと分かったら

せせら笑え

そして

破壊するために

現地へ

 

煙を噴きながら

ぶっ倒れる僕を見たらいい

動かなくなったら

この首に掛かった水筒の

ふたを開けて 君が開けて

飲み乾してしまえ

 

やがて 境遇から

ごろんと転がり出したのが

新しい星だ

まだ黒焦げのそれを

君は再び水筒に注いで

現地へ

 

行かないか

あらゆる鍵捨てて

現地へ

繰り返し 繰り返し

 

一度じゃ足りないし

三度じゃ多いから

二度足を踏まれたら

二度踏み返すけど

僕だけのものだった 夕日を

固いパンみたくはんぶんこして

僕だけのものだった 星ぜんぶ

足音代わりにばら撒いて

 

いっそのこと 現地で

君もぶっ倒れたらいい

二人 動かなくなったら

灰になって 風に舞って

どうせまた

星に 新しい星になる

 

さぁ 現地へ

目つぶってても 生は

鳴り止まない かけっこ

 

死なら

明日がないってことだって

それが痛むのは

明日があるってことなんだ

 

未来が ビュンビュン

一秒先にある

急行せよ

現地へ

 

未だ存在しない 現地へ

さぁ どこだろうって

ビュビュビュン 現地へ