昨日発見された理論は
僕にはさっぱり分からないけど
人類誕生から昨日までをかけて
ヒトが発見したと
言っていいんじゃないかな
だから僕にも君にも
数え切れない思い出があるけど
この恋はもしかして
生まれてから今までをかけて
見つけ合って出会い続けてると
言えるかもしれない
なんて言ったら
笑った君がとうとう涙を浮かべた
笑い過ぎだととほほとなっても
うれしなみだよと君は笑い続けてた
何事への気づかない振りも
もうきっとお互いばれるから
それが優しさって勘違いも
さんざんやったから
僕はたくさん話せるよね
この頃たくさん
もうすぐで君を
追い越せそうだよ
泥棒に盗られてから
もう何年ぶりだろう
新しい自転車に乗ってみた
こちらも初めて
君を後ろに乗せて
草ぼうぼうのグラウンドへ向かった
公園のベンチを目指してたのに
日暮れも間近
キャッチボールを思いついて
一度引き返したあと
君は両手にグローブをはめて
地球人から見ればバルタン星人が
僕の腰を締めつけてるとはしゃいで
ありったけの力を込めてるようだった
暑苦しいとじゃれたけど
それが痛くも苦しくもなくて
ただぬくくって不思議な感触だった
立ち入り禁止の立て札に
自転車を立て掛けた頃には
もう藍色の水たまりが広がり始めてたけど
かろうじて見える白いボールを
高く放ったり 転がしたり
わざと捕りにくいバウンドをさせたりして
久しぶりに大きな声を出して
汗をかいたりした
今日はこれまでの小さな回り道を
告白し合ったりするのはやめよう
こころにもやっぱり隅々まで丁寧に
血管が張り巡らされていて
こういうときは脈打ってるねと
君が先にうまいこと言うから
僕は無言になって笑いかえすだけだった
君を見ていたいから
帰りは僕がバルタン星人になろうか
そのあとで じゃんけんなんて
ルール違反だけど
うれしなみだの気持ちが知れた
帰り道スピード上げて
曲がり角を曲がったら
言葉の数がいくら増えても
言い足りないことがあるのを
また君に締めつけられながら
僕は発見できたんだ