君にもらった観覧車

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いくつ足跡残しただろう

爪先よりもちっちゃな光で

こんどはおねがい乗っててと

往復する数決めて歩いた

雪降る駅の端から端まで

 

白をばら撒く風を起こして去る電車

闇夜に消える無数のワンシーン

頬に粉雪が吹きつけていた

 

降り立つ君にぼやける人波

すべてが止まない雪のようにと

ポケットから出し切った痛い想い

涙ぐんだらこの手に触れた

手袋はずした赤い君の手

「雪が降りてくるよ。」

空を見上げて足を揃えた

 

 

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いくつ言葉を憶えただろう

こころのかたちをなぞった指で

かけらもおねがい零れないでと

手ざわりまでを気にかけた

あの薄っぺらい手紙のために

 

フィルムを巻きとる赤い大きな観覧車

夜空に浮かぶガラスのスクリーン

巡る綿雪が舞い始めていた

 

並木が手を振る見上げる人波

すべてが離れて雪だけになる

ポケットから出し合った同じ想い

微笑みながらこの手にはめた

ふたつの笑顔がかすかに映る

「雪が降りていくね。」

街を見下ろし顔を寄せ合う

 

同じ時間を刻む時計は

ぜんまい仕掛けの観覧車

乗り込んだ想いは

あの日の手紙と一字も違わず

もうすぐ短い一年を回り終えるよ

 

 

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