僕はかつてこんな風に乗って
ここに辿り着いたに違いない
青い空に溶けるように飛び去った君を見送って
葉が裏腹に強い風に鳴いてる
君がひょっこり現れた日から
僕のこころは口を開いたんだ
青い鳥の幸せなど祈るものはないと君は呟いて
この葉陰で青い翼を休めたんだ
明るい陽射の下 透き通る緑がきれいだと
誰のためでもなく咲かせる あの白い花は素晴らしいと
言われて存在してた僕は
誰も閉じこもる強い雨風を望んだんだ
何も枯れてしまいそうな赤い陽を望んだんだ
君が飛べなくなって
またここにやって来るから と
僕は僕の葉を心地よい羽と勘違いしてた
季節が巡ったら残らず千切れてしまうこと
拒もうとしてしまってた
僕はここから動けずに
君を追いかけることはできない
大きすぎるほどの翼休めの木
どんな熱い太陽の光さえ けれど 受け止めて生きられる
どんなささいな水さえ地面の中から吸い上げて生きられる
今ここにいるこの僕も
君の一日の糧にもならない
小さな小さな一粒の種子だったこと
忘れてしまいはしないから
頼りなくでも 飛ぶ君を
僕は僕の傍にいつもある青い空に見ていて
誇りに思うから
僕が僕でいることでだけ
与えられるものがもしもあるのなら
ありがとうもいらない
君が君でいることの糧になればいい
「青い空が大好きな君の見慣れた白い雲に似た
白い花が咲き終わると真っ赤な果実がなって
君は驚いてしまったんだろうか」
そんな冗談も言える頃
僕はまたひとまわり大きくなって葉を茂らせる
まだ深く根を張って きれいな水を吸い上げる
そんな希望を持つ僕を僕は
今 やっと 誇りにして
強い風の吹くたび丸裸になっても
青い鳥は君だけじゃないことにも
ときどきやって来る青い鳥たちに気づかされて
こころに集められてゆく青い羽と共に
幸せを運ぶという
青い鳥の幸せを祈ってる
静かに強く この僕の幸せも祈ってる
誰に誉められることはなくても
僕は僕としてここにいるから
これだけのものだけど
これだけがあればいい
雨と風と太陽を受けながら
青い羽を集めながら
これだけがあればいい
もう居場所を見失って
どこか遠くへ なんて
思ったりはしてしまわずに