こんな日もどこかに出掛けるの

君は

こんな日もどこかに出掛けるの

うすぐらい部屋には雨音と

引き換えに セーターに腕を通す真面目な

横顔の輪郭が銀色に傾く

 

冬の朝にも目覚ましはより高く鳴る

うごきださない僕の肩が冷えきったころ

君のおかげでそれは鳴り止む

ぱつんとテレビが点くと 微粒子が騒ぐ

 

平日のながれを打ち切らないように

休日も出掛けたいのだと 君も今は

思っていないようだった

朝食の雨だね、それはもう幾度となく

おはようの代わりになったことのある言葉になってて

 

カーテンが開かれて 微粒子ははじけてしまう

君は

こんな日もどこかに出掛けるの

曇り空は いつもはじまりの白でまぶし過ぎ

晴れた日よりも ゆううつになる

 

偶数月の日曜日は僕こそ朝食当番で

さらにもひとつ ゆううつになる

 

なんにしようか

どこにいこうか

なんでもいいか

どこでもいいか

 

君は澄まして歯を磨いてる

僕はもぐりこんで顔を洗う

冷たい水で 我にかえると

君はいなくて 鏡の中の

僕はせつなく つぶやいた

君は

こんな日もどこかに出掛けるの