退屈な昼寝

蝉が

さよなら さよなら、と

泣いている

 

かくいう僕も

さよなら さよなら、と

言っている

 

点から輪っかが

大きく広がる

 

延びる銀のつめたさの

青白い光の輪っか

媒介のない音波

人のからだをすぱっと切って

ビルも 車も すぱっと切って

真っ二つ

 

空に飛ぶしゃぼんだま

中にはまた空があって

中からも七色に光るんだって

無に生まれたしゃぼんだま

中ではみんながただ

遠ざかっていくんだって

手を振ってみようか

 

蝉は

さよならさよならさよならさよなら、と

泣いていた

小さな輪っかっか たくさんの

 

かくいう僕は

さようなら さようなら、と

言っていた

大きな輪っかっか のんきだね

 

はてみんなは

どんな輪っかっか 知りたい

退屈な昼寝の

夢にでも