朝が来て硝子の窓越しに日の光が散らかると
水しぶきを浴びて驚いたみたいに短く啼く鳥
ひよろひよろり啼く鳥がべランダの間際まで
近しい人が死んでしまう日かも知れない今日
僕は誰に触れるだろう顔や手や声や匂いや夢
僕が死んでしまうかもしれない今日何処かで
誰かが生まれている二人共生きていればまた
何処かで会うことがあるかもしれないねもう
鳥は遠ざかってしまう目に入り切らない世界
は何処まで広がる僕は眠りに就く姿勢に入る
疲れた人のため息もこれから生まれて来る朝
鳥の跳ねた草木はもう今日は一度揺れている
水まきを始めると餌の時間なのか犬が吼える
向かいの家は始まるのが早いどんな一日でも
あの犬は今日は死にそうにないな耳も閉じる
沢山の気分を曇らせる憶えていない夢を見る
気分なんてすぐに過ぎ去って消える冷蔵庫を
開けて冷えた目玉焼きをラップを解いて三時
僕の一日の始まりに食べる新聞を捲りながら
頭がしばらくガンガンと痛む胸は後悔の嵐だ
夕方の低い風の上梅雨晴れた薄い青の空の下
嵐の後みたいに白と灰色の雲が棚引いている
僕が眠っている間に今日とゆう一日は今日を
済ませて暮れようとしている沢山の落し物を
した気分で夕方五時にひたすらに歩いている
鳥が啼きながら僕の頭上を飛んで行くだろう
僕も用事を済ませたら家に帰るよ今夜からは
早く寝よう眠れなくてもそのまま眠らないで
冷えていない目玉焼きと添えたハムを二枚と
何かパンでもコーヒーと平らげて新聞を捲る
静まり返った真昼間よさようなら僕は行くよ