いつもの川原へ

淋しく 哀しく なったけど

そのわけがない

探すのも馬鹿らしくて

とぼとぼ歩く

いつもの川原へ 空っぽになりに

 

人気のない 住宅街

鎖に繋がれた年老いた犬

玄関先のちっちゃな 花壇

踏み切りが鳴る 久々に走る

 

幸せを求めてるでもない

何気なしの毎日 眠りぱなっしの 涙腺や拳

回る太陽ももうどうでもええ

僕以外を しっかり育んでろや 希望とかいうものよ

 

笑う女子中学生 横断歩道の向かい

点滅する青 また走る僕 ふと見上げたら

目が合った その内の一人 笑顔を名残る瞳

水色のジャージーにラケット抱えて 光を背負って

 

眩しくて バイパス見下ろす

ヘモグロビン 僕の中をドライブしてくれ

憂鬱な栄養素なら満タンやろ

 

空想がなんになる

時間食って 出来上がるもんが なんや

空なんて 糞食らえ

雲を連れて 月を浮かべ ほくそ笑むな

 

ガードレールの下の 僅かな土壌

雑草の中 青い花が咲いてない 春よいつ

ガードレール飛び越え 下るコンクリの土手 ぶっとい高架の柱

川に沿った脇の小道は いつも「初恋」を思い出させる

 

淀んだ池 向こう岸の釣り人 なんか見苦しい

時の流れのようで 川を見てると痛くなる

流れに逆らわずとも 追い越されてばっかやし

花を探す やっぱない 空を見る この癖も嫌や

 

払拭したい カッコ悪い顔 見栄えしない背丈

情勢も 天災も 予言も 過去も やっかいな

この川の流れも そこに跳ねるあのでっかい光やって

直視できへんねんから

 

いつもの川原のど真ん中

いつもの石に腰掛ける

光に対峙する

光に対峙する

申し訳ない気にさせんな

神も信じてないんやぞ

こころも回路と思ってんやぞ

そういう奴が ここにおる

ただ それだけや

ただ それだけなんや