あじさい色の入れ物で
雲に零れた光に透かされ
黒く揺れるシャボン水
雨水を集めてできたシャボン水
車が壊した水たまりの波紋を
手すりの間から見下ろすベランダ
空が見ていた景色を降らすから
絶え間なく波紋の広がる水たまり
シャボン玉には虹が溶けていて
ひとつ空に飛ばすたび
ひとつ雨に壊れる
どこにも消えずに雨になって
やっぱりあの水たまりになる
哀しみでも寂しさでも
構わず包む雨水のシャボン玉
晴れたら虹になるだろか
しゃがんだままで
飛ばしたシャボン玉は
それでも小さな虹を見せ
なくなるまで雨になった