胸の水中に幻の笑う猫が居て

それは夢で知り

星じゅうの海で

一粒の涙を浚うようにして

ぼくは浮き沈み

 

まだ世の果てが大滝だった時

ぼくは舟に乗り

水を恐れて

最期に太陽で

喉を詰まらせて

死を願っていた

 

光は小さな

猫の目に宿る

 

溺れたぼくが

ただ流れ着いた

 

ただの何処かの

岸辺で頬を舐めた

 

ざらついた舌の青い

猫の目に宿る