羽ばたく音

月光に濡れる森

 

僕の好きな大きな木がある角を曲がる時

 

振り返るように見上げると

 

 

 

ある夜は

 

疲れ切った体に降る小さな雨

 

鞄の傘は閉じたまま

 

 

君がときどき別れを切り出す時

 

僕を案じてか

 

 

いいよ

 

傷つけても

 

 

するすると川面を流れるように、だけでは

 

贅沢、とゆうかもしれないけれど

 

 

いっしょに

 

くるくる迷わせてよ

 

淀みに捕まりたいんだよ

 

 

君となら

 

 

日暮れも涙もじっとじっと

 

佇んで見ていたい

 

何もない空でも星の見えない夜空でも

 

君となら

 

見いだすものすらひとつもなくても

 

 

耳を澄まさずとも

 

羽ばたく音

 

 

息をのむ青葉の静けさ

 

花の孤独

 

電信柱や電灯や

 

風の孤独

 

生きるのなら

 

呼吸して

 

生きる

 

 

君となら

 

どこまで、孤独

 

空すらの