僕の乗る飛行機は何色だろう

新しい町に住み始めたこの冬

真昼の青い空の下をまた

自転車でゆらゆらと走る

 

相変わらず今も空は

もう僕のものじゃなくなった

思い出や思いや

まだ僕のものじゃない未来が溶けた

淡い色や

掴みどころのない模様をしている

 

君と住み始めたこの町の冬もまた

出会う前からの空と

一度も途切れず繋がっている

 

これからどこに流れて行くんだろう

強い強い不安が

逆さまに空の方へ

僕の心で跳ねたんだろうか

どこまで行けるだろう

って思った

 

冗談みたいに

パスポートがないから行けない

なんて誤摩化していたけれど

 

春になったら

どこかの外国へ旅行しよう

君と

僕の乗る飛行機を思い浮かべる

窓から見下ろす翼を 雲を

君の笑顔の気配も添えて

想像してみる

 

そしてそれからの夜と昼にちりばめられている

君と僕の持ち帰るはずの光の粒は

今から

そのどこかで

何色に

輝いているだろう

 

出会いはどれも

言葉のなかった待ち合わせかも

しれないな

 

時に

期待が不安を上回り

期待が不安を乗り越えさせる

 

春になったら

どこかの外国へ旅行しよう

たとえば君と

僕の乗る飛行機は何色だろう

 

二人を乗せて 何をうつして

空にひかれた その軌道さえ

何色だろうと 思い浮かべる