いつかの靴

遠くに飛ばした

いつかの靴は

明日の天気を当てずっぽうして

今になって 空に

ほんとうに

消えてしまった

 

好きだった歌を

思い出せなくて

性格を曲げて

サビのところから

歌ってみたら

沈黙まで思い出して

 

記憶力のわるいバカが

とんだバカをして

途中で思い出した歌いだしから

歌いなおして 歌い終わって

沈黙まで 思い出して

 

もう

「忘れられない」

とゆうことだけを つよく

心に書きつけておいて

何重にもマルをつけておいて

 

雑踏に紛れ込んで

いくつもの角を曲がればと

思うのに

今もなお まっすぐに

裸足を踏み出して

傷だらけの頃

また転がる靴を大事に拾って

 

けれど時の川は乾かず

いくつもの

星か花かその影に見とれ

雨か風かその声に誘われ

雲か木かそのざわつきに

駆けだしたから

 

遠くに飛ばした

いつかの靴も

明日の天気を当てずっぽうして

今になって 空に

ほんとうに

消えてしまった

 

誰かを思っているときは

その誰かも

自分のことを思っている

なんて

残酷だった最後の言葉

ようやっと

僕のもの

 

靴に込めた

願いが叶うなら

明日の朝には

星が沈むばかりだった

地平線に

光の風が吹く