ゆきのひとひら

このきたかぜのように
かけだせるこころならいいのに

はじまりのことも
そしてとちゅうのことなんて

きみをいだきすくめたい
せつなさがいやますだけだとしても

いまそうなのなら

きみのうたううたは
このゆきのひとひら

おちているそのあいだ
ひとつもおなじものはなく

ねっきのこもるじめんにとけゆく
そのさきはみえないしきこえない

きみをいだきすくめたい
くらやみがこくなるだけだとしても

いまそうなのなら

つきにてらされたうなばらのうねりのなかに
いつかのきたかぜにまったゆきのひとひらが

くもにおおわれたあれくるうなみがしらから
またきたかぜにのってふゆぞらにまいあがり

このそらのしずけさのように
みちたりたからっぽならいいのに

おわりのことも
さらにそのさきのことなんて

きみをいだきすくめたい
はるにはさめるゆめとしっていても

いまそのひとひら

きみのうたううたは
このゆきのひとひら

いまそうなのなら

きみをいだきすくめたい
すきとおるまでいたみをとかすまで