砂で描いた海

レモン月の隣りへ

憧憬がこころから

さらさらと零れて

七色の海を描いた

 

君に辿り着くまでに

こころは一度きり朽ちる

過去や記憶は砂の城

君以外を一度きり閉じる

 

君を呼ぶ風になびいて

僕のこころは消し飛んで

こうして空に海を描いた

でもねこれも所詮砂の絵

 

知らないんだ海を

波を打つという海を

光が煌き揺れるという海を

 

僕の恋は叶わなかった

好きと言っても

届かなかった

それだから僕はついに

空に届く梯子を架けて

砂粒を拾いに行く

一粒残らず拾いに行く

 

波にさらわれない

ひどく静かな場所で

また築き上げる砂の城

僕はそこで海に憧れ

ひどく静かに月を見ている