詩集「君にもらった観覧車」

同じ時間を刻む時計は

ぜんまい仕掛けの観覧車

乗り込んだ想いは

あの日の手紙と一字も違わず

もうすぐ短い一年を回り終えるよ

 

kiminimorattakanransya

君にもらった観覧車

 

1月

境界線に立って

勇気

空を支える人

幸福な夢の帰り道

2月

僕がこうしている間にも

コクハク

彼女の手紙

かくれんぼ

言葉 ここに在らず

3月

菜種梅雨

コーヒーカップ

止めどなく零れ落ちる涙より

道草

花びら模様の振り子時計

4月

桜に寄せて

このちいさな手にあまるもの

Pillow Box

朝の道路でつまずいたって

棘 -とげ-

5月

カセット

この大きな木

紅茶の木

新芽

風がこころに触れる時

瓦礫の椅子 

6月

風を泣かせないで

惚れた晴れたな僕ら

金ぴかの鍵

ソーダ水の飴玉

君を絵に描く

7月

七夕、散歩の帰り道

してもええこと、あかんこと

花氷

プラットホーム

二人になろう

8月

レモネード

イタズラガキ

これからのことを

見せかけの手足

Blue

9月

君は花を好きだから

10月

初恋

すてネコ

11月

満月

それでも君を思い出す

そうぞうりょく

愛の知りたがり

12月

ぬくもり (Christmas Flower 1997)

君にもらった観覧車 (Christmas Flower 1998)